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「交互作用が大きいとシステムが不安定」という考え方が間違っている3つの理由 [【その他の品質工学関連】]

2018年3月20日
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「交互作用が大きいとシステムが不安定」という考え方が間違っている3つの理由
(ここが変だよ品質工学)

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品質工学には、「交互作用が大きいとシステムが不安定」という考え方があります。
この考え方が間違っている3つの理由を述べます。

1. 直交表に割り付けていない制御因子間の交互作用を考慮できていない

2. 機能性評価では、制御因子間の交互作用を考慮できていない

3. 「制御因子間の交互作用」と「制御因子とノイズの間の交互作用」の扱いがダブルスタンダードである

それぞれについて、詳しく説明します。

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【1. 直交表に割り付けていない制御因子間の交互作用を考慮できていない】

あるシステムにおいて、制御因子が20個あったとします。

その内の8個を選び出し、L18直交表に割り付けてパラメータ設計を実施しました。
すると、幸いなことに制御因子間の交互作用は小さいという結果が得られました。

「交互作用が大きいとシステムが不安定」という考え方によると、
このシステムは安定ということになります。

次に、残りの制御因子12個について考えてみます。
残りも同様に直交表に割り付けて実験できればいいのですが、様々な理由で実験ができないとします。
すると、この12個の制御因子間の交互作用の大小は不明です。
もしも制御因子間の交互作用が大きかった場合、このシステムは不安定ということになります。

ということで、実験可能な8つの制御因子だけで、この「システムは安定」と結論づけるのは無理があります。
全ての制御因子間の交互作用をチェックしなければ、このシステムの安定性は評価できないことになります。

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【2. 機能性評価では、制御因子間の交互作用を考慮できていない】

「システムA」と「システムB」の機能性評価をしました。

「システムA」は、SN比=23dbという結果でした。
「システムB」は、SN比=17dbという結果でした。

両者を比較すると、「システムA」の方がSN比が高いので安定です。

しかし、「交互作用が大きいとシステムが不安定」という考え方によると、
機能性評価では、制御因子間の交互作用をチェックしていないので、「システムA」の下流での安定性は不明、ということになります。

だったら、機能性評価をやる意味が無いことになります。
変ですよね。

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【3. 「制御因子間の交互作用」と「制御因子とノイズの間の交互作用」の扱いがダブルスタンダードである】

これは当ブログ記事をご参照下さい。

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まとめです。
「交互作用が大きいとシステムが不安定」という考え方が間違っている理由は以下の3つです。

1. 直交表に割り付けていない制御因子間の交互作用を考慮できていない

2. 機能性評価では、制御因子間の交互作用を考慮できていない

3. 「制御因子間の交互作用」と「制御因子とノイズの間の交互作用」の扱いがダブルスタンダードである

制御因子間の交互作用が大きいことと、下流での再現性(安定性)とは全く関係ありません。

下流での再現性(安定性)は、SN比のみで評価しましょう。

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