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肩肘張らない自主的な(ユル〜い)経常研究 [その他のビジネス関連]

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以前の職場(工業技術センター)にて、毎年、経常研究という名の研究を行っていた。

これは「技術力の維持や向上に必要な基盤的な研究」という位置付けで行うもので、各自が自由にテーマを決めていた。

経常研究は、年1回刊行される工業技術センター「研究報告」に掲載されるため、センターの職員は、半ば強制的?に研究を行うことになる。

独立して自分の会社を作った今、強制的に研究を行う必要は無いが、
何かのきっかけで、『これってどうなるんだろう?』という疑問が浮かぶと、自主的なユルい経常研究がスタートすることになる。
そんな経常研究の成果は、学会で口頭発表すると共に、会社の「技報」として外部に情報発信している。

今現在取り組んでいる経常研究は、「T法における総合推定の相関」である。
LabVIEWによる数値シミュレーションにて検討を行っているが、その過程で、「意図した相関係数になるのようなダミーデータを作る」必要があった。

はて、どうやって作ればいいのか?
しばし悩む。

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相関係数R=0のダミーデータを作るのは簡単だ。
XとY、それぞれ乱数を発生させ、2次元でプロットすればいいのだから。
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こうやって、直ぐにプロット出来る。

でも何だか、雰囲気がちょっと違う。
もっとこう、なんていうか中心部に集まって欲しい。

相関係数のwikiにあるような感じの分布になって欲しいのだ。

そうだ!
XとYが、ぞれぞれ正規分布になれば良さそうだ。

でも、正規分布になるような乱数って、発生させることが出来るのだろうか?
もしかして、LabVIEWの関数viにその種のものがあるかも?!

ということで、「LabVIEW 正規分布 乱数」で検索すると、アッサリ結果が出た。

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「Gaussian White Noise PtByPt.vi」(リンク

正規分布に従う擬似乱数の発生方法(ボックス=ミュラー法)を使った関数viだ。
これで解決。

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さて、残る問題は、相関係数Rが「0」以外の場合だ。

「意図した相関係数Rになるような」ダミーデータは、どうやって作るのだろうか?

ここでまた、しばし悩む。

そうだ、ここまでの過程で、「正規分布に従う乱数」のことを「正規乱数」ということを知ったので、「正規乱数 相関係数」で検索してみることに。

すると、「相関のある乱数の発生」という結果が多くヒットしてきた。

ホー、みんな必要があって作っているんだ!

これで解決。

相関係数R=0.8になるようなダミーデータを「普通の乱数」と「正規乱数」で比較した。 
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両者の雰囲気は、全くが違う。
イメージしていたのは、正に右の分布だ。
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ということで、一気に自主的な経常研究が捗りました。

こういう検討が、地味に楽しい。
LabVIEW(のようなプログラミングのツール)があると、手軽に気軽にサッとシミュレーション出来るので便利だ。
そして、シミュレーションするには、乱数の活用がポイントとなる。

「乱数は便利」→「乱数って、どうやって作る?」→「乱数について調べてみよう」
ということで、最近、乱数に興味が湧いてきた。

偶然にも、書籍「でたらめの科学—サイコロから量子コンピューターまで(朝日新書)」を知り、早速購入してみた。
肩肘張らずに読める本で、とても面白い。

乱数の世界の奥深さに触れることができた。

「勉強すると楽しくなる」と言われているが、本当にそうだった。