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基本機能を再検討し、交互作用を小さくするという試み(交互作用とシステムの安定性について) [【その他の品質工学関連】]

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基本機能を再検討し、交互作用を小さくするという試み
(交互作用とシステムの安定性について)

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教科書の品質工学では、以下の2つの考え方があります。

1)【基本機能を再検討し、交互作用を小さくする】という試み
※これはつまり、【基本機能が適切でないと交互作用が大きくなる】という考え方です。

2)【交互作用が大きいと不安定なシステムである】という考え方

この2つの考え方について検証してみましょう。
まずは「基本機能」についてです。

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基本機能について教科書を見てみましょう。

教科書(田口玄一:実験計画法と品質工学,品質工学会誌,Vol.2,No.1,pp5)では、以下の通りです。
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品質工学では目的特性の静的SN比より、目的機能の動的SN比の方がよく、目的機能の動的SN比より基本機能の動的SN比の方が再現性が高いだろうとしている。
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【目的特性の静的SN比】は、『再現性が低い』だろうとしていて、それはつまり「交互作用が大きい」ということです。

【基本機能の動的SN比】は、『再現性は高い』だろうとしていて、それはつまり「交互作用が小さい」ということです。

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あるシステム(めっき加工)について考えてみます。

入出力1では、【目的特性の静的SN比】を使い、
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入力:「無し」→望目特性
出力:「見た目の良さ」→品質特性
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とします。
【目的特性の静的SN比】は、教科書では「交互作用が大きい」とされています。
ここで、【交互作用が大きいと不安定なシステムである】というもう1つの品質工学の考え方に照らし合わせると、『入出力1は、不安定なシステムである』ということになります。

入出力2では、【基本機能の動的SN比】を使い、
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入力:「電荷量」
出力:「めっきの析出量」
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とします。
【基本機能の動的SN比】は、教科書では「交互作用が小さい」とされています。
ここで、【交互作用が大きいと不安定なシステムである】というもう1つの品質工学の考え方に照らし合わせると、『入出力2は、安定なシステムである』ということになります。

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ここで大きな矛盾に気づきます。
入出力1と入出力2は、どちらも同じシステム(めっき加工)なのに、それぞれで安定/不安定の結果が異なっています。
同じシステムなのに、おかしな結果です。

これは、「交互作用が大きいと不安定なシステムである」という考え方が間違っているのだと私は思います。

「交互作用が大きい場合は、要因効果図の信頼性が低い」ということであり、システムの安定性は関係ありません。

反論や異論は、ぜひご自身のホームページやブログ等でご紹介下さい。
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