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貝探しは、解探し [【YouTube】]

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潮干狩りで貝を探すのと、開発業務で最適条件を探すのは、実は似たようなことをしています。
試行錯誤で貝を探す方法は、効率的なのでしょうか?
効率の良い探索方法があったら嬉しいですよね。
今回は、そんなお話です。

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このブログ記事は、YouTubeの動画でもご覧いただけます。

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潮干狩りへ行きました。
果たして、この海岸に貝はあるのでしょうか?
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先ずは、海岸の右下のエリアで貝を探してみました。
その結果、このエリアには貝が見つかりませんでした。
この後、この海岸全体で貝を探すことを諦めた方がいいでしょうか?
それとも、粘って貝を探した方がいいでしょうか?
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少し「左」のエリアに移動すれば、貝が見つかるかもしれません。
または、
少し「沖」のエリアに移動すれば、貝が見つかるかもしれません。
どうすればいいのでしょうか?
悩みます。
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どうすればいい?
例えば、
海岸全体をX座標とY座標として、それぞれ3箇所を設定したとします。
交点の9ポイントについて、総当たりで貝を探索した結果、左上のポイントで貝を5個拾うことができました。

それはそれで嬉しいのですが、このような「総当たり」の貝探しは大変です。
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ということで、次の一手を考えました。
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これは貝の分布です。
左上に貝が集中しています。
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これを「貝の等高線」として描いてみると、こんな感じになります。
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横線を引いて、右下のポイントから順番に貝を探していきます。
最初は、0個。
左に移動して、3個d(^-^)→もっと左に移動してみよう!

更に左に移動して、4個d(^-^)→もっと左に移動してみよう!

更に左に移動して、3個(^^;)→こりゃダメだ。元に戻ろう。

ということで、4個のポイントに戻ってきました。
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次に縦線を引いて、沖(上)に向かって同じように貝を探していきます。

沖(上)に移動して、5個d(^-^)→もっと沖(上)に移動してみよう!

更に沖(上)に移動して、9個d(^-^)→たくさんの貝を拾うことができました!

このように探索する方法を「1因子実験」といいます。
こうやって探索すると、最適(貝)に到達することが可能です。
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「X座標」を「制御因子A」
「Y座標」を「制御因子B」
とすると、最適化実験に例えることが出来ます。
こうやって、最適(解)に到達出来るのです。

ただし、現実はそう甘くはありません。
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左のような貝の分布は、「交互作用が小さい場合」です。
この分布であれば、すんなりと最適貝に到達出来ます。
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しかし、右のような貝の分布の場合、すなわち、局所(貝)が多くあるような場合は、すんなりと最適貝に到達することが難しくなります。
このように、局所(貝)が多くあるよう分布の状態を「交互作用が大きい」と言います。
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「交互作用が小さい場合」は、1因子実験ですんなりと最適解に到達出来ます。
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「交互作用が大きい場合」は、どうでしょうか?
1因子実験をしてみると、右下にある局所貝にしか到達出来ないことが分かります。
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貝が多くある「左上の局所貝」に到達するにはどうしたらいいでしょうか?
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貝が多くある「左上の局所貝」に到達するには、先ほど説明した「総当たり」での探索をする必要があるのです。
9ポイントの総当たりならば、ちょっと頑張ってトライしてみるのもいいでしょう。
しかし、制御因子が増えるとどうなるでしょうか?
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制御因子が3つの場合、総当たりでは「27箇所」の探索になります。
制御因子が4つの場合、総当たりでは「81箇所」の探索になります。
このレベルになると、もう無理です。

ということで、L9直交表を使うことにします。
L9直交表では、9箇所の探索で一番の局所貝を探し出せる可能性があるのです。
※直交表実験では、抜け漏れはありますが、結構いい結果(暫定最適条件)が得られる場合が多いです。
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このように直交表を活用すると、
(交互作用が小さい場合)は、最適解が見つかります。
(交互作用が大きい場合)は、暫定最適条件(暫定最適解)が見つかります。

つまり、直交表を活用することにより、「総当たり的な結果」を必要最小限の実験回数で得ることができるということです。
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ここまでをまとめてみます。
(交互作用が小さい場合)は、1因子実験で最適解に到達できます。
(交互作用が大きい場合)は、1因子実験で局所解にしか到達できません。
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しかし、(実験前の段階では)交互作用の大小は不明です。
よって、1因子実験で大丈夫なのかは「不明」なのです。
だから、1因子実験では不安があります。
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そうかといって、総当たり実験では、制御因子が多い場合は無理です。
ということで、「直交表」を活用して効率的に実験することが重要です。
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一番残念なのは、貝(解)が全く無いのに「1因子実験」で探し続けることです。
ムダな苦労が積み重なり、途方に暮れます。
それでは、貝(解)が全く無い場合、直交表を使うとどうなるでしょうか?
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(解が無いケースで)直交表を使うと、要因効果図の傾向はフラットになります。
つまり、「効く制御因子が全く無い」ということです。
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また、要因効果図の傾向が頭打ちの傾向になるような場合は、「現行条件以上の解は無い」ということになります。
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ということで、
直交表を使って、「サッと」効率的に、「ザッと」大まかに探索することが大切です。
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最後になぞかけです。

『潮干狩りとかけて、品質工学と解く』
『その心は?』
『貝(解)を探しています』
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お後がよろしいようです。