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長野県品質工学研究会の活動報告(2021年10月&11月) [長野県品質工学研究会の活動報告(転載)]

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長野県品質工学研究会
 2021年10月8日(金)に2021年度の第6回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:1名+事務局2名、オンライン参加者:6名)
以下に示す1つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「感染シミュレーションの方法」 (信州大学 岩下幸廣)
新型コロナウィルスの感染予測シミュレーション方法の検討内容と結果を報告した。ロジスティックモデルでほぼ感染状況の説明ができ、予測も可能であるので、事前対策に役立つだけでなく、安心感も得られる。また、同モデルは商品寿命の予測にも活用できる。
2.「金型潤滑のパラメータ設計」(株式会社サンコー 中増光宏)
プレス加工の金型で加工油を効果的に潤滑させる構造を、加工荷重を特性値としたパラメータ設計で検討したが、納得できる結果が得られなかったことを報告した。会員から、制御因子の一部再検討、誤差因子に金型摩耗状態を追加すべき、など多数の意見が出た。これらを参考に再実験を計画する。

 2021年11月12日(金)に2021年度の第7回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(会場参加者:1名+事務局2名、オンライン参加者:8名)特別講演および以下に示す3つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「直交表 VS 総当たり(直交表で総当たりに近い結果が得られるのか?)」 ((有)増田技術事務所 増田雪也)
品質工学シミュレータを用いて、L18直交表の結果と総当たり(4374通り)の結果を比較した。利得の再現性が良好(制御因子間の交互作用が小)な時は、要因効果図から得られた最適条件は、総当たりのmax値と同じような結果となった。また、L18直交表の中の一番良い条件(暫定最適条件と呼称する)は、最適条件には劣るものの、比較的良い条件が得られることが分かった。
2.「MT法、標準化誤圧法、RT法の比較 - RT法の使い方の注意点 -」 (KOA(株) 守谷敏)
RT法は①サンプル数≦項目数の場合でも計算ができる、②項目データをβ、1/√ηに集約する、③分散・共分散行列の余因子行列を使うが、2×2なので計算が簡単、といった特徴がある。
ところが、問題点として①全ての項目の単位が揃っているか無次元数でなければならない、②大きな絶対値をとる項目があれば、その項目により判定結果がほぼ決まる、③微小な値しかとらない項目は、判定結果にほとんど寄与しない、などがあり、これらを理解して使わなければならない。
問題点を避けるにはデータの基準化が必要になるが、通常の基準化では平均が0になるため、β、1/√ηを計算することができない。そのため基準化にメジアンや範囲を使う方法があり、問題点が基準化で回避できるかを事例で確かめてみた。
併せて標準化誤圧法も取り上げた。
3.「圧力分布センサを使った体重の推定」 (タカノ(株) 中原健司)
寝たきりの人の体重を容易に知ることができる方法として、圧力分布センサを使った体重推定を検討している。目的変数である体重の違う5人に寝てもらい、体重を圧力と面積で換算したところ、マットレスの硬さ、姿勢、時間経過によって誤差が発生し、推定精度がよくなかった。そこで、重回帰分析とT法で推定式を作り、推定精度がどう違うか検討した。まだ、十分な精度が出ておらず、実験方法も含め継続検討とする。
【特別講演】
「MT法における重心抽出範囲の最適化 -SignalCatcherデモ-」(田中精密工業(株) 石澤剛士)
重心法の重心抽出範囲を遺伝的アルゴリズムで計算することにより、抽出範囲を短時間で最適化できるようになった。
本機能は、MT法・T法計算ソフトSignalCatcherに追加予定である。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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