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多次元MT法で解析してみよう [【その他の品質工学関連】]

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OK品(正常品)が項目数より少なくても解析できる「多次元MT法」の紹介です。

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MT法では、【OK品のサンプル数 ≧ 項目数】という制約があります。

例えば、
OK品のサンプル数が9個の時、項目数=7個であれば解析が可能です。
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もしも、
OK品のサンプル数が5個しかない時は、項目数=7個であれば、解析ができません。
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ここで、なんとか計算できないか工夫してみます。
先ほどの、「OK品のサンプル数=5個、項目数=7個」であれば、
項目を5個(項目1〜5)に絞れば、「OK品のサンプル数=5個、項目数=5個」となり解析が可能です。
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同様に、項目を(項目2〜6)の5個に絞れば、「OK品のサンプル数=5個、項目数=5個」となり解析が可能です。
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同様に、項目を(項目3〜7)の5個に絞れば、「OK品のサンプル数=5個、項目数=5個」となり解析が可能です。
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項目数=7個の場合は、そこから5個を抜き出す組合せは、7C5=21通りあります。
よって、この21通りの組合せで、それぞれのMD値を求めます。
この21通りのMD値の中で、最大値をその代表MD値として採用します。
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以上は、「OK品のサンプル数=5個、項目数=5個」で計算をしました。
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「OK品のサンプル数=5個、項目数=5個」の場合、項目を4個(項目1〜4)に絞って解析することも可能です。
この場合は、7C4=35通りのMD値を求めます。
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「OK品のサンプル数=5個、項目数=5個」の場合、項目を3個(項目1〜3)に絞って解析することも可能です。
この場合は、7C3=35通りのMD値を求めます。
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「OK品のサンプル数=5個、項目数=5個」の場合、項目を2個(項目1〜2)に絞って解析することも可能です。
この場合は、7C2=21通りのMD値を求めます。
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ということで、OK品のサンプル数が5個の時、項目数=7個であれば、2次元〜5次元での解析が可能です。
全部の次元で計算をして、その中で一番MD値が高い次元(この場合は5次元)で解析すれば、判別精度が高くなります。
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このような解析方法を「多次元MT法」と言います。
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キーボードの打鍵パターンから個人を判別した事例を紹介します。
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キーボードから「ra-men」と打鍵して、個人を判別する事例です。
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項目は、ご覧のような打鍵の間隔時間です。
この場合は、項目数=7個となります。
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A氏を単位空間として、A氏なのか/A氏以外なのかを判別する事例です。
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その結果、判別は可能でした。
判別の精度を評価する指標として、「判別係数Hk」で評価した結果を右のグラフに示します。
※判別係数Hk=「NG品のmin」÷「OK品のmax値」
この場合、項目の最大次元数=7です。
次元数が高い方が判別精度は高くなります。
(普通に考えれば、次元数が高い方が、より高次元のパターン認識が可能ですので、判別精度は高くなります)
4次元を境にして、判別係数が低くなります。
ということで、この事例では4次元のパターンが存在していることが分かります。
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多次元MT法の問題点を述べます。
項目数が18個付近を越えると、組合せの求める際に計算量が爆発し、有限時間内では解けなくなります。
これはもう諦めるしかありません。
ただし、2次元の組合せは、プログラム的な工夫で項目数=80個くらいまでは大丈夫です。
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まとめです。
OK品の数が項目数より少ない場合は、【多次元MT法】で計算が可能ですので、ぜひトライしてみて下さい。
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