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SN比の改善は非線形の効果だけではない(線形だってSN比を改善できる) [【YouTube】]

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SN比の改善は非線形の効果だけではない
(線形だってSN比を改善できる)

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品質工学の教科書では、「非線形の効果でSN比を改善する」という説明があります。
左上のグラフは、横軸が制御因子Bを3水準振っており、縦軸は出力です。
ご覧のように非線形な特性になっています。

ここで、ノイズを考えます。
「制御因子Bのバラツキ」というノイズで考えると、
B1を中心に±Xばらつくと、縦軸の出力は大きくばらつきます。
一方、
B3を中心に±Xばらつくと、縦軸の出力は小さくばらつきます。
その結果、
B3を選んだ方がばらつきが小さくなり、安定性が高いということになります。

これをSN比の要因効果図で表すと、左下のグラフになります。
B3はSN比が高くなります。

このように「非線形の効果でSN比が改善できる」というのが、品質工学の教科書でよく目にする説明です。

今度は右上のグラフを見てみましょう。
横軸が制御因子Cを3水準振っており、縦軸は出力です。
ご覧のように線形な特性になっています。
制御因子Cは、C1、C2、C3のどの水準においても、±Xばらついたとしても、縦軸の出力のバラツキの大きさは同じです。
従って、SN比はどれもほぼ同じです。

しかし、
出力の値は変化しますので、これで平均値を調整(チューニング)することができます。
感度の要因効果図で表すと、右下のグラフになります。

このように「線形の効果で感度を調整ができる」というのが、品質工学の教科書でよく目にする説明です。

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しかし、この説明だけを見ると
『ノイズは、その制御因子のバラツキのみでOK』
とか
『非線形の効果でしかSN比を改善できない』
と勘違いしてしまう人がいます。

それは勘違いです。
↓で説明します。
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『ノイズは、その制御因子のバラツキのみでOK?』

ノイズは、「その制御因子(この場合は制御因子B)のバラツキ」以外にも、たくさん考えられます。
例えば、「温度」というノイズです。
「高温」と「低温」でノイズをイメージすると、右上のグラフのようになる可能性があります。

この場合、
B1は、「温度」というノイズに対してはバラツキが小さくなり、
B3は、「温度」というノイズに対してはバラツキが大きくなります。

従って、SN比の要因効果図を描くと、右下のグラフのようになります。

ということで、ノイズは制御因子のバラツキ以外にもいろいろありますので、ノイズをイメージする際には注意が必要です。

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『非線形の効果でしかSN比を改善できない?』

右上のグラフをご覧下さい。
同じく「温度」というノイズをイメージしています。
それぞれ線形な特性になっています。

この場合、
B1は、「温度」というノイズに対してはバラツキが大きくなり、
B3は、「温度」というノイズに対してはバラツキが小さくなります。

従って、SN比の要因効果図を描くと、右下のグラフのようになります。

ということで、線形の効果でもSN比が改善できるケースはありますので、非線形の効果でしか改善できないということではありません。

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まとめです。

制御因子(この場合はB)のバラツキ以外のノイズもイメージしよう!

線形の効果でもSN比は改善できることをイメージしよう!

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