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長野県品質工学研究会の活動報告(2023年8月&9月) [長野県品質工学研究会の活動報告(転載)]

※長野県品質工学研究会の公式ブログより転載(http://nqes.web5.jp/blog/
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長野県品質工学研究会
 2023年8月10日(木)に2023年度の第4回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:13名)
以下の3つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「多特性の損失関数」 (顧問 岩下幸廣)
多特性の損失関数を検討した。前回の発表の様に、パラメータ設計において①T法による推定式②損失関数による最適化によって条件の最適化ができるが、品質特性などの複数の特性で最適化するためには、多特性での損失関数を使った方法が有効である。
2.「医療関連製品製造業での品質管理について」 (会社都合により発表者名は非公開)
医療関連製品製造業メーカーの品質保証担当者より、関連製品の特長、自社製品の紹介、製造方法、品質管理方法について報告。
設計から出荷後の製品管理において工業製品とは異なる部分がある中で、品質工学がどう活用できるか会員よりアドバイス・レクチャーを受けた。
3.「SN比の利得が再現したらどうする?」(顧問 常田聡)
パラメータ設計では確認実験にてSN比の利得の再現性をチェックするが、その利得の再現性の良し悪しの判断は曖昧であることを報告した。
できれば利得を品質ばらつきの改善だけでなく生産性の向上にも使い、そして、損失関数を用いて生産コストの改善効果を予測したい。
それが年間のコスト改善につながれば企業の利益増加になる。
すなわち、利得の再現性を追究することは、改善コストの再現性の追求であることを報告した。

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 2023年9月8日(金)に2023年度の第5回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)およびオンライン(Webex)にて同時開催した。(参加者:12名)
以下の2つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
1.「送風ファンの効率最適条件」 (シナノケンシ(株) 辻希望)
利得の再現性がよくなかったのは、制御因子間の交互作用の可能性を考える前に、小さい利得で確認実験を行っていた為、精度良く再現性をチェックできているとは言えないと判断した。
目的が再現性をチェックすることでは無いので、L18の中から、1番良い条件を最終最適条件とした。
N1とN2で逆転している条件が約半分くらいとなったが、1条件以外は、差が小さい為、ノイズに強い条件と見なしても良いのではないか?とアドバイスを頂いた。
また今回、望目特性で評価をしたが、エネルギーとして捉えた動特性の考え方についてもアドバイスを頂いた。
2.「検査の課題と考察」 (顧問 岩下幸廣)
ベイズ確率を考慮した検査設計を検討した。その結果、ベイズ確率を考慮しても、臨界不良率の変化は小さいことが分かった。また、潜在的不良率が小さい場合、通常検査より精度が悪いが安価な簡易検査を行い、その後不良判定品を通常検査で再検査すると損失を減らせる。この結果は、検査精度の悪い生物的検査では効果的であり、新型コロナ感染などの検査では、キットによる検査での感染判定者をPCR検査することが効率的な場合が多いことが分かった。
【共通テーマ】
「ネジ締めにおける機能の評価方法」
過去に研究会のメンバーが集まって取り組んだ「共通テーマ」について、今回から新たなテーマに取り組んでみたいと提案した。
テーマ名は『ねじ締めにおける機能の評価方法』とし、一般機械でよく使われるボルトやナットを対象に検討を開始した。
まず、メンバーの企業でどんなねじに関する問題があるかあげてもらい、その後、JISをもとにねじ締めの方法と問題点を紹介した。
次回は、ねじ締めの機能の検討を進めたい。
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