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確認実験は、最適条件だけでいい(かも) [【YouTube】]

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確認実験は、最適条件だけでいい(かも)
「要因効果図の信頼性」に執着しない開発もあり?!

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前回の記事で、「「SN比」と「感度」は、それぞ確認実験する必要がある」ということを説明しました。


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SN比と感度の両方で確認実験するということは、
SN比用に「最適条件」と「比較条件」で実験し、
更に、感度用に「最適条件」と「比較条件」で実験する、ということです。

これは大変です。
ということで、提案があります。


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それは、それぞれの「比較条件」を省略してしまうのです。

しかし、それだと利得の再現性をチェック出来ないことになります。


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さて、どうやって要因効果図の信頼性をチェックしたらいいのでしょうか?
それは、「最適条件(要因効果図を見て最も良くなる条件)で実験する」のです。

横軸はSN比です。
ここにL18直交表で実験した場合に求まる18個のSN比の値をプロットします。
緑の丸がその18個のプロットになります。

SN比の要因効果図を見て、SN比が高くなるような最適条件を選び、実験します。
その結果、18個のプロットよりも高いSN比になれば、「再現性は◎(良好)」と解釈するのです。


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もしも、最適条件が18個のプロットの右半分(SN比が高い方)のSN比になれば、「再現性は○〜△(わりと良い)」と解釈するのです。


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もしも、最適条件が18個のプロットの左半分(SN比が低い方)のSN比になれば、「再現性は△〜×(わりと悪い)」と解釈するのです。


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もしも、18個のプロットよりも低いSN比になれば、「再現性は×(悪い)」と解釈するのです。


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ということで、比較条件が無くても(つまり、利得で検討しなくても)、最適条件だけで再現性が推測できるのはないかと考えました。


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感度も同様にチェックします。


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更に、もっと割り切ってドライに「要因効果図の信頼性なんてどうでもいい!」と考えると、
「SN比と感度を加味した「たった1つの最適条件」だけで実験する」でもいいのではないでしょうか。


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L18直交表の18個のSN比と感度を2次元でプロットします。
※「感度は高い方が良い」という場合で考えてみます。
18個の中では、紫で示した条件は、SN比的にも感度的にも良さそうな条件です。
この条件を『暫定最適条件』と言います。


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SN比と感度の要因効果図を見て、SN比と感度を加味した「たった1つの最適条件」を選び、実際に実験しました。
その結果、選んだ最適条件のSN比と感度は、青い領域に位置したとします。
すると、暫定最適条件よりも良い条件となっていますので、「最適条件は使える」という結論になります。


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最適条件が右下のオレンジ色の領域に位置したとすると、「(SN比を重視するなら)この最適条件は使える」という結論になります。


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最適条件が、左上のオレンジ色の領域に位置したとすると、「(感度を重視するなら)この最適条件は使える」という結論になります。


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最適条件が、左下の紫色の領域に位置したとすると、「この最適条件は使えない」という結論になります。
最適条件は使えないので、先ほど検討しておいた「暫定最適条件」を採用します。


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なお、この際のSN比と感度の再現性は、ご覧のような解釈になります。
この様に、確認実験を最適条件だけで実験しても、再現性はある程度評価できると考えても良さそうです。

次に、いろいろな事例で試してみます。


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品質工学シミュレータ」を使った場合です。
L18直交表実験(シミュレーション)の結果(SN比・感度)を散布図でプロットしてみました。


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暫定最適条件は、右上の紫色のプロットになります。
(※暫定最適条件とは、直交表実験の中で一番良い条件です)


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要因効果図から最適条件を検討し、実際に実験(シミュレーション)した結果を青丸で示します。
L18直交表の結果よりも良い条件が見つかっていますので、「最適条件は使える」という結論になります。


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次に、「電解研摩加工条件の最適化」の場合です。
L18直交表実験の結果(SN比・感度)を散布図でプロットしてみました。


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暫定最適条件は、右上の紫色のプロットになります。
(※暫定最適条件とは、直交表実験の中で一番良い条件です)


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要因効果図から最適条件を検討し、実際に実験した結果をオレンジ丸で示します。
L18直交表の結果と比較すると、(感度は高くないのですが)SN比の高い条件が見つかっていますので、「(SN比を重視するなら)最適条件は使える」という結論になります。


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次に「プレス打抜き加工条件の最適化」の場合です。
L18直交表実験の結果(SN比・感度)を散布図でプロットしてみました。


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暫定最適条件は、右下の2つの紫色のプロットになります。
(※暫定最適条件とは、直交表実験の中で一番良い条件ですが、この事例では候補は2つあります)


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要因効果図から最適条件を検討し、実際に実験した結果を紫丸で示します。
L18直交表の結果と比較すると、暫定最適条件よりも劣る結果となっていますので、「最適条件は使えないので、暫定最適条件を採用する」という結論になります。


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まとめます。
「「SN比」と「感度」は、それぞれ確認実験する必要がある」のですが、
確認実験は「最適条件だけでやる!」(※利得ではチェックしない)という対応でも良さそうです。

また、要因効果図の信頼性なんてどうでもいい!と開き直れば、
SN比と感度を加味した「たった1つの最適条件」だけで実験し、最適条件または暫定最適条件のどちらかを採用すれば、確認実験はより簡単になります。


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以上です。