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L18直交表は半分実施でもOK?(半分の実験回数で要因効果図が描けるのか?) [【YouTube】]

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L18直交表は半分実施でもOK?
(半分の実験回数で要因効果図が描けるのか?)
についてご紹介します。

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このブログ記事は、YouTubeの動画でもご覧いただけます。

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動画バージョンもあります。
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品質工学でおなじみのL18直交表の割り付けです。
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直交表の「直交」とは、どういう意味でしょうか。
これは、「任意の2因子間の全ての組み合わせを実験できるように水準が割り付けられている」ということです。

つまり、「任意の2因子間の全ての組み合わせが、同じ回数出現する」という意味です。

では、L18直交表は、本当に直交しているのか確認してみましょう。
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制御因子BとCの組み合わせの黄【1mm・150mm】の組み合わせは、1行目と10行目に出現しています。
制御因子BとCの組み合わせの赤【2mm・150mm】の組み合わせは、4行目と13行目に出現しています。
制御因子BとCの組み合わせの赤【3mm・160mm】の組み合わせは、8行目と17行目に出現しています。

その他の制御因子の組み合わせも、確かに同じ回数(2回ずつ)出現しています。
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ということで、L18直交表は直交しています。
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もしも、L18直交表のある行が欠測してしまったら?
こういうことは、結構あります。
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例えば、9行目が欠測したとします。
その場合は、実験をやり直すことがイチバンですが、別の救済策をご紹介します。
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とりあえずは、欠測していない17行分の平均値を代入しておけばOKです。
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ある事例を使って、「欠測(代入処理)した場合」と「欠測しない場合」の要因効果図を比較してみました。
すると、このケースでは、どちらも同じような要因効果図になりました。
ということで、とりあえず平均値を代入する救済策は有効ですので、お試しください。
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ということを説明したら、ある人が『○○○○○だ!』と閃きました。
それは↓
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『L18直交表の半分だけ実験しても、要因効果図を得られるのではないか?!』
もっともらしい考え方です。
では検証してみましょう。
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先ずは、L18直交表の半分だけ実験する際、果たして「直交しているのか?」をチェックしてみましょう。
L18直交表の半分だけですから、2因子間の組み合わせが1回ずつ出現していればOKですが・・・

L18直交表の上半分(1〜9行目)では、【100mm・0.2mm】という組み合わせは2回出現してしまっています。
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ということで、L18直交表の半分だけでは直交していないことが分かります。
これは即ち、「偏った組み合わせになっている」ということです。
ということで、これはダメです。
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ダメですが、強引に要因効果図を作成することは出来るので、参考にはなるのでは?!
ということで、参考までに強引に要因効果図を描いてみました。
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L18直交表(全部)とL18直交表(上半分)とL18直交表(下半分)で描いた要因効果図を比較してみました。
事例は、品質工学シミュレータのデータを使いました。
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半分では解析のやり方を説明します。
欠測行には、残り半分(9行分)のSN比の平均値と感度の平均値を代入すればOKです。
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なお、品質工学シミュレータの事例では、欠測無しの場合の利得の再現性は良好です。
つまり、制御因子間の交互作用は小さいということです。
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L18直交表(上半分のデータのみ)の場合で、SN比の要因効果図を比較してみました。
 水色:同じ傾向
 黄色:だいたい同じ傾向
 赤色:異なる傾向
ということで、同じような傾向になる制御因子もあれば、そうでないものもあります。
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L18直交表(上半分のデータのみ)の場合で、感度の要因効果図を比較してみました。
 水色:同じ傾向
 黄色:だいたい同じ傾向
 赤色:異なる傾向
ということで、感度の場合は、同じような傾向になるものは少なかったです。
※事例によって異なりますので、感度がいつも傾向が同じにならない、という訳ではありません。
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次に、火縄銃の事例(数値シミュレーション)で検証してみましょう。
この場合も、利得の再現性は良好です。
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火縄銃の事例は、制御因子が3つしかありませんが、敢えてL18直交表に割り付けました。
SN比の結果は、似たような傾向になりました。
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感度の結果も、似たような傾向になりました。
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まとめです。

L18直交表の半分だけで解析してみました。
要因効果図を見ると、傾向がどの事例でも一致するとは限らないが、
L18直交表の途中経過を参考程度に見るなら、まあいいか?!という感じです。

あくまでも「参考」ですので、全部(18行分)実施することが大切です。

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