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長野県品質工学研究会の活動報告(品質工学会誌2019年12月号広場の記事より抜粋) [長野県品質工学研究会の活動報告(転載)]

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長野県品質工学研究会
 2019年8月9日(金)に2019年度第4回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す4つの事例発表についてディスカッションした。
【事例発表】
1.「LabVIEWを用いた品質工学手法のプログラミング」((有)増田技術事務所 増田雪也)
グラフィカルプログラミング言語「LabVIEW」を用いて、品質工学手法(MT法、T法、パラメータ設計)をプログラミングした。特にMTシステムでは、自分でプログラミングすることによる気付きが多く、新たな解析手法のヒントが得られるメリットがある。
2.「品質工学Excelマクロの簡単な紹介」 ((株)日本電産サンキョー 中西徹)
品質工学の数理は初心者には難解な事が多く、敷居を高くしてしまっている。そこで、社内で標準インストールされているExcelを使って解析出来るマクロツールを準備した。利用者の使いやすさ、データを可視化する事による異常値の早期発見を第一に考えた。本ツールを社内講習時に使ってもらう事で、計算している内容に興味を持つ技術者も増えてきた。初心者には、算術的な教育から入るのでは無く、身近に触れてもらうツールを準備する事でQEの普及にも効果があると実感した。
3.「MT法とT法による予測式」 (信州大学 岩下幸廣)
T法を工夫して、非線形データの予測への適用が行われている。新たな方法として、MT法とT法を組み合わせる方法を提案し、参加者で議論を行った。
4.「パラメータ設計の進め方」 (日本電産(株) 塚本ちさと)
社内の品質工学を知らない人と一緒にパラメータ設計をする事が多くなったので、パラメータ設計の進め方をフロー図にした。研究会メンバーにフロー図について忌憚なき意見をもらった。「相談者などの一般人向け」と、「社内QE研究会参加メンバー向け」に分けて考える事が必用。まずは「社内QE研究会参加メンバー向け」の資料として考え、フロー図の見直しを実施する。
5.「金属プレス特殊加工の最適条件」 ((株)サンコー 井上貴裕)
金属プレス特殊加工の最適条件を求める実験について報告し、結果処理の方法についてアドバイスを受けた。ひとつの実験値が他の実験値の傾向と違っていることについて、この実験値を除く他の実験値からT法で推定値を作成し比較する、など。

 2019年9月13日(金)に2019年度第5回研究会を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門(長野県岡谷市)にて開催した。以下に示す3つの事例発表および共通テーマについてディスカッションした。
【事例発表】
1.「T法による作業中断要因分析」 (日置電機(株) 兒玉光)
製造ラインでの作業中断と部品検査データの関係について、T法を用いて分析し、改善活動の提言をおこなった事例の紹介をおこない、以下のような指摘を得た。
・目的変数と説明変数がともに結果のデータとなっているため、説明変数を工夫したほうが良い
・結果データ同士の相関関係の把握のみであれば相関分析で充分ではないか
・管理図の作成方法について
2.「金属プレス特殊加工の最適条件」 ((株)サンコー 井上貴裕)
金属プレス特殊加工の最適条件を求めるパラメータ設計について確認実験結果を報告。これまで最適条件の判断基準を2つ設けていたが、トレードオフの関係にあるため、まとめて判断する方法について協議し、有効な案を得た。
3.「T法の項目選択 直交表 vs スパース推定」 (長野県工業技術総合センター 古布諭)
T法の項目選択の方法について、2水準系直交表を用いた場合と、スパース推定の代表的な手法である「LASSO」を用いた場合とで、選択される項目や予測精度の比較を行った。
【共通テーマ】
新規の共通テーマの検討を行った。会員企業のAI/IoTに関する知見を得ることを目的として、ラズベリーパイ等の小型PCと安価なセンサーを用いて、MTシステムの実験に取り組むことになった。
((有)増田技術事務所 増田雪也 記)
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