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ブログプレゼンテーション『品質工学の紹介』3)品質工学での「良い」とは何か? [シリーズ「品質工学の紹介」]

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「品質工学は、より良い条件を求める道具である」といいましたが、この「良い」とは、何をもって最適とするのでしょうか。

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一般的には、「性能が良い」ものを「良い」としています。
しかし、品質工学では、「ノイズに強い」ものを「良い」としています。
「ノイズ」というと、雑音や騒音をイメージする人が多いと思いますが、
品質工学でいう「ノイズ」は、以下の4つを指します。

■ノイズ
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 1.劣化
 2.環境
 3.材料や部品や加工条件のばらつき
 4.使われ方(顧客の使い方)
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これらのノイズに影響されにくい条件(=ノイズに強い)が「良い条件」となります。
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品質工学では、これら4つの「ノイズ」に影響されにくいものを「良い」とします。
つまり、
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「良い」=「ノイズに影響されにくい(ノイズに強い)」
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です。
これは、品質工学でとても重要な概念ですので、ぜひ覚えておいてください。

それでは、この4つのノイズについて、もっと詳しく述べていくことにします。
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ノイズ「劣化」の代表例としては、【摩耗】と【経年変化】があります。

■摩耗
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機械部品が擦すれ合う摺動部では、【摩耗】による寸法変化が発生します。
この寸法変化は、性能に影響を与えます。
品質工学では、この【摩耗】というノイズに影響されにくい条件を「良い条件」とします。
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■経年変化
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ゴム部品は、時間の経過と共に、硬くなっていきます。
このゴムの硬化は、性能に影響を与えます。
品質工学では、この【経年変化(硬化)】というノイズに影響されにくい条件を「良い条件」とします。
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以上、「劣化」というノイズについて説明をしました。
品質工学では、この「劣化」というノイズに影響されにくい(ノイズに強い)より良い条件を求めていきます。

それでは次に、「環境」というノイズについて説明をします。
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ノイズ「環境」の代表例としては、【温度】と【湿度】があります。

■温度
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【温度】が変化すると、材料は膨張したり収縮したりします。
また、材料の硬さが変化したりします。
この材料の膨張収縮や硬さの変化は、性能に影響を与えます。
品質工学では、この【温度】というノイズに影響されにくい条件を「良い条件」とします。
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■湿度
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【湿度】が変化すると、材料の物性も変化します。
この物性の変化は、性能に影響を与えます。
品質工学では、この【湿度】というノイズに影響されにくい条件を「良い条件」とします。
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以上、「環境」というノイズについて説明をしました。
品質工学では、この「環境」というノイズに影響されにくい(ノイズに強い)より良い条件を求めていきます。

それでは次に、「材料や部品のばらつき」というノイズについて説明をします。
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ノイズ「材料や部品や加工条件のばらつき」の例として、【材料】と【部品】のそれぞれで見ていきましょう。

■材料
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鉄鋼材料等【材料】を購入すると、硬さや成分などに、必ずばらつきがあります。
この硬さや成分のばらつきは、性能に影響を与えます。
品質工学では、この【材料】というノイズに影響されにくい条件を「良い条件」とします。
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■部品
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購入部品【部品】には、寸法や仕様などに、必ずばらつきがあります。
この寸法や仕様のばらつきは、性能に影響を与えます。
品質工学では、この【部品】というノイズに影響されにくい条件を「良い条件」とします。
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以上、「材料や部品や加工条件のばらつき」というノイズについて説明をしました。
品質工学では、この「材料や部品や加工条件のばらつき」というノイズに影響されにくい(ノイズに強い)より良い条件を求めていきます。

それでは次に、「使われ方(顧客の使い方)」というノイズについて説明をします。
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ノイズ「使われ方(顧客の使い方)」の例としては、【ボールペンの設計】と【タイヤの設計】のそれぞれでみていきましょう。

■ボールペンの設計
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ボールペンのインクは、顧客の書き込む用紙によって、インクの出る量が変化します。
ツルツルした用紙に書き込む場合は、インクの出る量は少なく、
ザラザラした用紙に書き込む場合は、インクの出る量は多くなります。
つまり、この書き込む用紙は、ボールペンの性能に影響を与えます。
品質工学では、この【ボールペンで書き込む用紙】というノイズに影響されにくい条件を「良い条件」とします。
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■タイヤの設計
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タイヤは、顧客が走る路面によって、グリップ力が変化します。
乾いた路面では、グリップ力は大きく、
濡れた路面では、グリップ力は小さくなります。
つまり、この顧客が走る路面は、タイヤの性能に影響を与えます。
品質工学では、この【タイヤの走る路面】というノイズに影響されにくい条件を「良い条件」とします。
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以上、「使われ方(顧客の使い方)」というノイズについて説明をしました。
品質工学では、この「使われ方(顧客の使い方)」というノイズに影響されにくい(ノイズに強い)より良い条件を求めていきます。
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それではここで、「良い」とは何かについてまとめてみます。

『良い条件とは、ノイズに強い条件である』

ノイズには、4つの種類がありました。
−−−−−−−−−−−−−ノイズ−−−−−−−−−−−−−−−−−
 1.劣化
 2.環境
 3.材料や部品や加工条件のばらつき
 4.使われ方(顧客の使い方)
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これらのノイズに強い条件を探す道具が「品質工学(タグチメソッド)」です。

それでは次に、品質工学で求めた良い条件でモノを作ると、『なぜ、市場や工場でトラブルが減少するのか?』について、述べていくことにします。
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【目次】
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1)はじめに&目次
2)品質工学の概要
3)品質工学での「良い」とは何か?
4)なぜ、市場や工場でトラブルが減少するのか?
5)なぜ、効率的な開発ができるのか?
6)機械式腕時計の良い設計条件
7)良い条件の求め方(詳細)
8)なぜ、コストを低減できるのか?
9)品質工学の導入方法
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【お問い合わせ】
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